英メディアから自民党に「野党の薦め」――JAPANなニュース





■本日の言葉「in the wilderness」(荒野にて、野に下って)■



英語メディアが日本をどう報道しているかご紹介するこの水曜コラム、今週はすでに「日本で歴史的な政権交代が起きる」と見方を固めている様子の英メディアが、自民党に「しばらく野に下るのも悪くありませんよ」と書いていることについて  



○謝罪にはタイミングというものが

「私の不用意な発言のために、国民のみなさまに不信を与え、政治に対する信頼を損なわせました。深く反省を致しております。また、自民党内の結束の乱れについてであります。私が至らなかったため、国民の皆様に不信感を与えました。総裁として心からおわびを申しあげるところです」(強調筆者)

のるかそるかの総選挙をこれから戦いに行こうという現職の総理大臣が、こんなに「すみません、すみません」と謝ったことがあったのでしょうか。悪いと思っているなら、全く謝らないよりも謝った方がいいに決まっていますが、やはり麻生首相は、解散・総選挙のタイミングも間違ったし、謝るタイミングも間違ったと思います。本当に自分の発言が悪かったと思っているなら、もっと早くに謝って、「gaffe-prone(失言しがち)」な総理大臣などと外国メディアにも呼ばれるような事態は避けるべきだった、と(ちなみに今のG8の首脳で「gaffe-prone」という枕詞がつくのは、麻生首相のほかに、イタリアのベルルスコーニ首相です)。

この「ごめんなさい」だらけの21日夕の記者会見を、BBCは速報。「Japan PM apologizes for failures(日本の首相、過ちを謝罪)」という見出しを見て、「ああ、次の選挙で自民党が勝つのだろうな」と思う読者はどれだけいるでしょう。

○英メディアから野党の薦め

前から書いているように、英語メディアの論調は「民主党が歴史的勝利へ」でほぼ固まっています。予定稿も用意してるだろうと思うほどに。リベラル系の英紙ガーディアンは「いよいよ」と言わんばかりに、鳩山由紀夫民主党代表の略歴紹介記事を掲載。そして、保守系の英紙タイムズは「麻生首相衆院を解散 野党は『革命』を約束」という見出しの記事で、麻生首相の会見内容よりも「明治以来の官僚主導の政治というものから国民が総参加をして政治をつくり出していくと。新しい政権というものをそのようなかたちでつくり出していく、革命的に大きな目的を持った政権交代だ」という鳩山代表の21日の記者会見内容をメインに詳報しました。

こうやって英語メディアはおおむね、選挙の行方に結論を出してしまっているのですが、ロイター通信のリンダ・シーグ特派員はすでに「選挙後」の展開について慎重です。「自民党の凋落話は大げさすぎる」という見出しで、

下手をすると次の選挙で大敗した自民党が分裂してしまうのではないかという話もあるが、「野党という荒野でしばらく過ごした方(a stint in the opposition wilderness)が、自民党のためになるのではないか。政党同士が政策を競い合う現代的な二大政党制で、強力な挑戦者として再浮上するために、いったんは野に下る方がいいのではないか」と指摘。今から10年もすれば、日本は自民党民主党という二大政党制の国になっているのではないかという、専門家の予測も紹介しています。

そういう将来が垣間見えるからでしょうか、フィナンシャル・タイムズのミュア・ディッキー東京支局長もこちらの記事で、自民党がしばらく野に下れば「そもそも自分たちは何のためにいるのか考え直す機会となる。政治がもっとはっきり政策の方向性を示し、はっきりした選択肢を示してくれればいいのに。日本人の多くはそう思っている。自民党と野党・民主党は、どちらも政策の幅は広く、党内は分裂していて、互いに重なり合う部分が多い。日本はどこへ向かうべきか再考して今よりもっと明確なビジョンを掲げた自民党が戻ってくるなら、それは日本にとってプラスとなる」と、「野党の薦め」を提示しています。

○豊かな政治的荒野を

確かに、仮に8月30日夜に民主党勝利となったとしても、それは決して国民の大半が民主党を積極的に支持したからではないはずだと思います。民主党の一党支配が何十年も続くことを(関係者以外は)誰も期待していないと。かといって数カ月単位で政権交代があるような不安定な政府も困る訳で、やはり日本で求められているのは、シーグ特派員が言うように、安定した政権交代が定期的に行われる現代的な二大政党制かと。

そして二大政党制においては、どちらの党も数年おきに野に下り、「in the wilderness(荒野にて)」でしばしさまよい、自分のアイデンティティを探し求めて再構築しては、前よりも力強くなって政権に復帰するものです。英国ではサッチャー党首率いる保守党がそうでしたし、ブレア党首率いる「新生労働党(New Labour)」がそう。そして米国では「in the wilderness」状態で8年間さまよった挙げ句、荒野の地平にバラク・オバマ氏を発見した民主党がまさにそうでした(転じて野に下った今の共和党が、方向を失い荒野をさまよう野党そのもの。荒野の地平に見つけた希望の星がサラ・ペイリンだった……などということになりませんように)。

つまりは「wilderness(荒れ地)」もそれなりに豊かな政治的内省と再生の土地でないと、二大政党制というのは成立しないわけです。日本ではこれまで必然的に「野党」といえばただの「反対ばかりの万年野党」でしかありませんでしたが、自民党が野党になれば「野党」という言葉の意味すら変わるかもしれない。野党とは、虎視眈々と次の政権奪取を狙っているもの——という風に意味が変われば、それは日本政治の素晴らしい大転換になると思います。

(蛇足。こと日本政局になるとイギリスのメディアばかり引用していますが、なぜか21日深夜になってもニューヨーク・タイムズワシントン・ポストもロイターやAP通信を掲載するのみ。英国メディアは、独自記事や解説を次々と載せているのに。この関心の差はなんなのでしょう? 同じ議院内閣制の島国だから? それともアメリカは本当に日本に興味を失っているのでしょうか?)
               (gooニュース 祐子)


民主党は官僚政治を打破できるかどうかだけ

それだけでも大きな進歩です。

次回総選挙では自民党に負けるでしょう

ただ政策と今後の実績でどれだけ踏ん張れるか?


ある評論家の言葉

 今回の解散に名前を付けると

  故吉田首相の「ばかやろう解散」に対して

  「ばかやろう の 解散」 だそうです(爆笑)