唇は最も敏感な感覚器!? なぜ人間はキスをするのか?

キス――。

唇と唇を重ねあわせ、唾液を交換しあうあの行為なわけですが、よくよく考えると、ちょっとグロイ気も…。表面部分の接触という意味では手をつなぐのとそんなに変わらないはずなのに、なぜ人は唇で触れあいたいのだろうか? とりあえず、かかりつけの内科兼皮膚科の先生に話を聞いてみた。先生、こんなことって答えられますか?

「もちろん答えられるよ。内科や皮膚科では、体に神経や血管がどうはりめぐらされていて、どうやって脳に伝わるかっていう大脳生理学も勉強しますから。で、神経や毛細血管の集中している量でいえば、唇よりも指先の方が、断然敏感なんだよね。だけど、脳への刺激の伝わりやすさは皮膚の厚さによるんですよ。唇って、ものすごく皮膚が薄いじゃない? だから、刺激が神経を通じて脳に伝達するまでが速いわけ。逆に、かかとなんかは皮膚が厚いから伝わりが遅いんだよね」

すなわち、唇は最も感じやすい部分だ、と。ところで、なぜ人間はキスをしたいと思うのでしょうか?

「それは、『原始反射』に関係してるんだと思うよ。例えば、生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこして立たせてみると、歩けないのに右足と左足を交互に出したりする。手のひらに何かを入れると、握ってくる。そういう遺伝子レベルで伝わっている、生存していくための体の反応を原始反射って呼ぶんだけど、人間って生まれてから、まず最初にオッパイを吸わないと生きていけないじゃない? つまり、人間が唇に物があたると吸ってしまうのは、原始反射として持っている根幹的な行動なんだよ」

何かを吸うこと自体が、遺伝子レベルで決められてるんですか!

「母乳にはじまり、食べ物を摂取するのも口しかないよね。だから、口というのは原始的な欲求を満たす器官だと、人間にはインプットされている。そもそも、人間の三大欲求である食欲、睡眠欲、性欲っていうのは種を保存していく上で必要な欲求だから、キスをして性的に興奮するのも、原始的なことといえるだろうね」

と、いうわけで我々人間は、原始的欲求によってキスをしているらしい。だからといって、彼女以外の女の子とキスしても「遺伝子に導かれてさ…」ではすみませんので、そこんとこよろしく頼みますよ!
(有馬ゆえ/ノオト)